というお問い合わせを頂きました。
このお客様は新車の初回車検から当社で作業させて頂いているお客様です。
前回の車検は約9か月前です。
お車お預かりにて、早速診断をしていきましょう!
目次
症状の確認+スキャンツール自己診断チェック
正直・・・この時点でおおまかな不具合箇所は頭に浮かんでいます。
が、当てずっぽうで作業をしてしまうと、外れた時がわけわからん状態になってしまうので、どんな不具合でもまずは確認する。
これが重要です!
う〜ん。
エンストは起きないですねぇ。
特別調子が悪い感じもしないし。
症状を確認しようとしましたが、お客様からのご指摘の不具合はお預かり中には発生しませんでした。
ですが、駐車場でのチョンチョンとアクセルを踏み駐車する時のエンジンのレスポンスには若干のもたつきは感じる。
ご指摘の症状は確認は出来ませんでしたが、次にコンピューターでの自己診断を表示させていきます。
残ってる!!!
車自体、アイドリングの調子がおかしい事を自覚しているようです。
アイドリング不調によるエンストは間違いなく発生したんでしょう。
いや、別にお客さんを疑っているわけではありませんよ笑
診断の時は出来るだけ色々な角度から考えるようにしています。
根拠の無い勝手な決めつけは誤診断に繋がりますからね。
整備士がこの車のこの症状はここが原因で間違いないっしょ~なんていい加減な仕事してたらいつか大きい誤診断します。
では、次にエンジンの制御値をデーターで表示させていきましょう。
データモニターでエンジンの状態を把握する
エンジン回転数、吸入している空気の量、車がどれだけ空気を吸おうとしているのか、制御は正しく行われているのか・行おうとしているのかが、データーを見ると分かってきます。
エンジン回転数の制御自体は行おうとしているようです。
アイドリングで650回転にしては、スロットルバルブの電圧が少し高いように感じますね。
とはいえ、全体的なセンサーの計測値におかしいところは見当たりません。
やや、スロットルバルブのセンサー電圧が高いかなと言うところですね。
スロットルバルブとは
アイドリング中、いわゆる停車時や信号待ちのときは、アクセルは踏んでいませんよね。
その時にスロットルバルブが全て閉じてしまうと、エンジンに空気が入らなくなってしまうので、エンストします。
それでは困るので、コンピュータがアイドリングに必要な空気をエンジンに入れる為に、スロットルバルブを少し開けるんです。
それで、アイドリングが安定するわけです。
スロットルバルブが汚れてくると、入る空気が少なくなってくるので、その分また少し開ける。
汚れる→空気少なくなる→開ける→空気多くなる→汚れる
の繰り返して、常に一定のアイドリングを保つようにコンピューターが制御しています。
その汚れがまぁまぁ溜まって来ると、コンピューターの制御で追いつかなくなって来る事があり、今回のようにアイドリング不調や、エンストに繋がります。
現状で把握出来た車の状態から考えて、今回はスロットルバルブを洗浄してあげようと思います。
スロットルバルブを洗浄すると、溜まった汚れが無くなるので、スロットルバルブの開き具合は少なくなるはずです。
アイドリング中のスロットルバルブの電圧をモニターすることによって、大方のバルブの汚れ具合が推測出来るんです。
整備士にしかわかりませんが、データモニター眺めてるのって楽しいですよね。
え?私だけかな?
スロットルバルブを洗浄+アイドリング学習
この車は、手前の方にスロットルがあるので、洗浄は簡単です。
私が車検をやると、大体5〜6万キロぐらいでエアークリーナーエレメントを交換するんですが、大体その時に軽く洗浄しています。
すると、今回のようなアイドリング不調で困る事は少なくなるんですが、この車は現在40000キロ。
毎回私が車検整備をしているんですが、私の想像よりもスロットルバルブの汚れ進行具合が早かったようで、今回エンジン不調を発生させてしまいました。
去年の車検の時に洗浄しておけば、お客さんに不安な思いをさせずに済んだはずですよね。反省です。
では、洗浄をします。
ワコーズのスロットルバルブクリーナーを使って、優しく汚れを落としてあげます。けして無理やり擦ってはいけませんよ。
軽く撫でてあげるだけで大丈夫です。ゴシゴシはNGです。
スロットルバルブクリーナーは色々なメーカーから発売されていますが、ワコーズのスロットルバルブクリーナーは、絶縁性があり電子部品を痛める事は無いそうなので安心して使っています。
ちょっと見にくいですが、綺麗になりました。
二人一組でキースイッチONでアクセルを踏んでもらうと洗浄しやすいです。
ポイント
洗浄が終わったらダクトを取り付けて、アイドリング学習をすればOKです。
トヨタの場合はバッテリーを外して、数分置いた後に繋ぎ直し、しばらくアイドリングしていれば大体学習してくれます。
後は乗っているうちに少しづつ学習していってくれます。
作業が終わったら、データモニターの値に変化があるか確認してみましょう。
作業前と水温は違いますが、回転数は同じぐらいなので、良しとします。
スロットルセンサーの電圧が0.1V程下がっていますね。
汚れを取り除いた分閉じ方向に弁が動いている証拠です。
吸入している空気の量にはそこまで大きな変化はありません。多少下がっているかな。
最後に、40000万キロでエンジン不調になるくらいのペースで汚れたと考えると、今後の汚れ防止として、フューエルワンを注入しておきます。
数ある添加剤の中でも、このフューエルワンは『普段洗浄出来ない部分を洗浄してくれる』添加剤です。
私はゴリゴリ添加剤系を勧めるタイプではありませんが、今回のような車両だとピンポイントで効果を発揮してくれるような気がします。
まとめ+今回の費用目安
今回はエンジン不調で入庫したヴォクシーの修理でした。
症状が確認出来ていないので、完全に直したとは言えないかもしれませんが、しばらくお客様に様子を見て貰おうと思います。
ちなみに、スロットルを洗浄すると、車の動き出しや、駐車場でのチョンチョン動きがとてもスムーズになります。
必要無いのにやたらめったら触るのはお勧めしませんが、きちんと判断して作業するととても効果的な作業です。
作業 | 作業+部品費用目安 |
故障診断費用 | 3000円~(今回のお客様は車検アフターサービスの為無料) |
スロットルバルブ洗浄(かなり作業しやすい車種でした) | 3000円~(同上) |
注意ポイント